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2⇔3

二次元と三次元を行ったり来たり

ETERNAL CHIKAMATSU 感想


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3/5、6の大阪公演を計3回観劇しました。
もうあの、私の拙い言葉では表現しきれないくらい素晴らしかったです。

近松門左衛門作の『心中天の網島』を題材にし、現代と江戸時代が交錯するこの舞台。デヴィッド・ルヴォー氏にとって盟友であった十八代目中村勘三郎さんへのオマージュと歌舞伎へのラブレター、とパンフレットに書いてある通り、随所に歌舞伎の要素が見られました。
開演前の中村屋の幕からのリーマンショックスタートには初見時びっくりしました。あれ?私ちゃんとチカマツの舞台に来てるよね?と(笑)
以下ざっくりとした感想です(いつものごとく偏ってます)


一流の女優さんの実力に圧倒されました。ずっと舞台に出ずっぱりで膨大な台詞量なのにも関わらず全くミスがない。めっちゃ手足細い。綺麗すぎる。今回最前、2列目、3列目とどの回も至近距離での観劇だったのですが、一幕のジロウの兄に糾弾された後なんかは泣きの演技が凄くてもらい泣きしてしまいそうでした。
店を出た後橋の上から川に向かって「ねえどんな気分?」と話しかけていたところ、1回目はよくわからなくて死んだ遊女でも見えてるのかと思いましたが、亡くなった旦那さんへの言葉だったんですね。やっぱり舞台は複数回観たほうがいいなと改めて実感。
二幕ラスト、雨が降る中(実際に舞台上に雨が降る演出すごい)傘をさして歩いてくるところがまるで映画のワンシーンのようで感動しました。

中村七之助(小春)
今回初めて歌舞伎の世界に触れましたが、七之助さんの女形が凄すぎた。小春が登場した途端舞台の雰囲気ががらっと変わるくらいの存在感。あの声どこから出ているの。表情や所作すべてが女性そのもので、気がついたら「くっそー治兵衛めそこをどけ私が小春を守ったる!」と叫びそうになるくらい、小春がいじらしくて愛しくなりました。
一幕ラストの心中のシーンはもう言葉にならない。愛しい人に斬られてボロボロになりながら「殺してぇ!」とすがりつく小春の姿が痛々しくて…。死に際の倒れていく様が美しいのもまた悲しみを助長させる。七之助さん見事なイナバウアー決めてたよ凄い。
あと印象的だったのはやはり二幕ラストの演出ですね。最前席でもただ着物を脱いでいるだけにしか見えなかったのに、一瞬で化粧が落ちてハルの旦那役へと変わったのは見事としか言いようがありません。本当にあれどういう手品?水で落としているのはわかるけど…

◆中嶋しゅう(ババア/ジジイ)
役名だけ見るとあれだけどとても重要な役でした。生み出したものが人々に影響を与え、望まぬ悲劇へと導いてしまった作者の苦悩。二幕でハルと口論するところが迫力あって見入りました。

音尾琢真(イサオ/孫右衛門)
お兄様。この方の声量が半端なくて、自分が責められているわけではないのに心臓が締め付けられるような思いでした。怒りに震える演技が圧巻。

◆中島歩(ジロウ/治兵衛)
この方俳優デビューしたのが2013年ってめっちゃ最近なんですね。ジロウと治兵衛のダメ男っぷりを上手く演じられていました。最近の芸能ニュースがアレなので、なかなかリアル。

伊藤歩(アキ/おさん)
おさんとハルの語り合うシーンが一番泣いたかもしれない。女の強さと、待つことしか出来ないやるせなさ。治兵衛はこんな素晴らしい奥さんがいて何故浮気に走ってしまったのか、解せぬ。

矢崎広(トウゴ/男)
タイタニック以来の矢崎さん。現代ではハルの弟役で、ただのイケメンでした眼福でしたありがとうございます。もっと台詞聞きたかったなぁ。

入野自由(太兵衛/男)
こんなに前情報のない舞台って初めてだったんですけど、入野さんのビジュアルが衝撃すぎて初見時全く登場に気がつかなかった(笑)ドレッドヘアーで髭生えててフード被ってるとか難易度高すぎでしょう。でもやっぱり目の前でおっぱいがどうのこうの台詞言ったのに気がつかないなんて自分どうかしている。
太兵衛のゲスい小物演技ハマってましたね~。入野さんの関西弁意外と違和感なかった。矢崎さんと共にアンサンブル的な役割でしたが、しっかりと自分の仕事をこなしていました。こんな素晴らしい舞台を観るきっかけを作ってくれた入野さんに心から感謝。


人を愛するとはどういうことか、自ら死を選ぶとはどういうことか、深く考えさせられる物語。そして鮮やかな赤色が印象的な演出。
この舞台に出会えて本当に幸せでした。キャストの皆様、スタッフの皆様、約1ヶ月間お疲れ様でした。