fair TRADE 感想
赤坂RED/THEATER
1/17昼夜観劇しました。朗読音楽劇と書いてクローゼットミュージカルと読むそうです。公演の約一ヶ月前に突然情報が出たので、都合がつかず来れなかった方も多いのではないでしょうか(プリライ*1、Dライ*2、柿ライ*3等被りすぎ問題)
キャパ200人程度の小さな劇場、4人の役者とピアノの生演奏。このシンプルで静かな空間がとても好きでした。
予想以上に歌を歌う場面が多く、また動作での演技がありました。確かにこれはミュージカル。
「僕たち、ゲイカップルです」
「私たち、レズビアンです」
「つまり、そういうお話です」
冒頭からなかなかの衝撃。
簡単にまとめると2組の同性カップルが出会ったことにより関係性が崩壊していく物語なのですが、イメージとしては、当時の映像を見ながら現在の4人が客観的にコメントを口にし、本音や疑問をぶつけあうというもの。そのため時間軸が頻繁に切り替わります。
今回パンフの販売がなかったので、あらすじに重点を置いて書いていこうと思います。うろ覚え注意。
:出演
入野自由(アサヒ)
土屋裕一(ユウマ)
内田亜希子(サヤ)
皆本麻帆(マヒル)
◆まずお互いの自己紹介。
中小企業の社長であるユウマと、派遣でイベントスタッフをしているアサヒ。広告代理店に勤務しているサヤと、雑貨屋でアルバイトをしているマヒル。
ユウマとサヤがそれぞれのパートナーに「一緒に住もう」「結婚しよう」と誘うが、アサヒとマヒルは乗り気ではない。お金のことは気にしなくていい、何でも好きなものを買ってあげる、と相手は言ってくれるが、ただ与えられるだけの恋愛は何か違う。人生のパートナーとは対等な立場(フェアー)でいたい。それが2人に共通する思いだった。
→序盤からめっちゃ歌う!音階もリズムも複雑で、作曲の人はドSに違いないと思いました。歌いこなせる4人がすごい。入野さんの爽やかさ、土屋さんの力強さ、内田さんのセクシーさ、皆本さんの可愛らしさが見事に重なり合った、素晴らしいハーモニーでした。特に女性陣のハモリが綺麗で感動。
◆冬のある日、フェアートレード*4のセミナー会場で物語が動き出す。低血糖で倒れそうになったマヒルをスタッフであるアサヒが支えたのだが、マヒルは男性恐怖症のため悲鳴を上げてしまう。必死に彼女を落ち着かせようとするアサヒと、マシンガントークで自身の低血糖のことやフェアートレードのチョコレートについて語るマヒル。次第に2人は打ち解けていき――
→この場面はとにかくマヒル演じる皆本さんが可愛くて仕方ありませんでした。アサヒちょっとそこ代われ。あんな可愛い悲鳴上げられないよね、と公演後フォロワーさんたちと語りました(笑)
「バイトじゃないから!派遣社員だから!」「そんなに嫌!?」「触りません!」などなど、入野さんがよく叫んでいた場面でもあります。やっぱり入野さんのツッコミは耳によく残る(笑)
◆自分のパートナーに異性との出会いがあったことなど知らないユウマとサヤは、その日の夜それぞれ相手を連れて肉を食べに行く(ただし別の店)。そしてこれが運命の悪戯なのか、二軒目に選んだのが同じ店で、アサヒとマヒルがお互いの存在に気がつく。見られている。同性カップルであることがバレている。どうして意識してしまうのかわからない。
2人が顔見知りであることがわかり、ユウマがサヤに一緒に飲もうと誘いをかける。すぐに意気投合して酔っ払うユウマとサヤ。一方アサヒとマヒルは静かに2人だけの時間を共有し、距離を縮めていく。
→きました肉の歌。肉っていいよね!とひたすらに肉の素晴らしさを歌うのですが、4人がノリノリなので観客側も楽しくなります。焼肉行きたい。レモン多めで!
このあたりがアドリブ多かったように思います。基本土屋さん発信。自分のアドリブにうけて吹き出してしまった時もありました(笑)
二軒目でアサヒとマヒルが真面目な表情で歌っている横でサヤがユウマに壁ドンしたりと、なかなかカオス。私はこの年上コンビすごく好きなんですが、でも好きにはならないと歌詞で何度もばっさり切られました。ざんねん。
◆4人は酔っ払ったままサヤの家へ。この時一番意識がはっきりしていたのはマヒル。
「だからこの後の行動には意志があった」
次に意識がはっきりしていたのがアサヒ。
「まるでその時を待っていたかのように、彼女に触れられた瞬間目が覚めた」
見れば泥酔状態のユウマとサヤが転がっている。今ならバレない。バレるわけがない。
そして2人は、過ちを犯す。
→歌詞がえろい!舞台上の張りつめた緊張感がダイレクトに伝わってきました。ここからの展開はもう、言葉にならない…。
◆パートナーとの関係を切らずに、隠れて何度も会うアサヒとマヒル。しかし長くは続かない。怪しんだユウマとサヤが連絡を取り合い、合鍵を使ってマヒルの部屋に入り浮気の現場を押さえる。夢から醒めたように、静かに訪れる終わりの時間。
「偽善者」
「お前もだよ」
「人って、邪悪になれるんですね」
「人が感情を乱すのって、面白い」
4人はそれぞれの過去を振り返る。パートナーへの気持ちは何だったのか。本当に求めていた愛とは何だったのか。
大切なパートナーを傷つけた。その代償は必ずある。罪が暴かれた後、アサヒとマヒルの関係も長くは続かなかった。
「別れの儀式をしよう」
「さようなら」
次に誰かを愛する時は、せめてフェアーでいたいと言葉にする2人。甘く苦いチョコレートのように4人の関係は喜びと痛みをもたらし、その後溶けて消えていったのだった。
→共感出来るところ、出来ないところがそれぞれあって、でもやっぱりアサヒとマヒルの行為は許せなくて、公演後はしばらく言葉が出てきませんでした。最後全員曲の前に舞台に並んでいた4つの椅子が一つずつ片付けられていくのですが、バラバラになった4人を表しているようでただただつらい。
内田さん(サヤ)のソロが素晴らしかったです。感情の込め方や声量に圧倒されて涙腺が緩みました。
普段入野さんが出演される舞台とは違う独特の雰囲気で、とても新鮮でした。是非またこういう機会を作って頂きたいです。お芝居と歌を存分に堪能出来る、本当に贅沢な時間でした。キャストの皆様、スタッフの皆様、ありがとうございました。
「愛している?」
「愛していますよ」
「愛している?」
「愛していますって」